占い師が自分を占ってはいけない、という俗説の真偽。

「占い師は、自分のことを占ってはいけない」

占いを学び始めた人が、最初に、どこかで聞く言葉。

本当に、そうなのでしょうか。

15年、この仕事をしてきた私の、結論から言います。

半分、本当。半分、嘘。

目次

俗説の、根拠。

まず、なぜ「自分を占ってはいけない」と言われるか、その根拠を整理します。

理由は、主に3つ。

ひとつ目は、客観性の欠如。

自分のことを占うとき、どうしても「こういう答えが出てほしい」という期待が、先に入る。

カードを引く前から、答えを誘導してしまう。結果、カードを読む目が、歪む。

ふたつ目は、依存の危険性。

自分のことを毎日占っていると、何か決断するたびに、カードを引かないと安心できない人格になる。

自分の頭で考える力が、退化する。

みっつ目は、エネルギーの消耗。

カードを扱うのは、意外と、体力を使う作業。

自分のために毎日使っていると、お客様を鑑定するときの集中力が、残らない。

この3つは、全部、正しい。

でも、全面禁止は、違う。

だからといって、「占い師は自分を占ってはいけない」という全面禁止は、極論。

自分のことを、一度も占わない占い師は、存在しないはず。

自分の人生の、大きな岐路。
どうしても迷っている、決断の前夜。
夢の中で、カードが呼んできた朝。

こういうタイミングで、自分のカードを引くのは、悪いことではない。

問題は、「毎日、自分を占うこと」。

全否定ではなく、頻度の問題です。

私が、自分を占うとき。

私が自分のためにカードを引くのは、年に、たぶん、5〜10回。

それ以外は、引かない。

引くタイミングは、だいたい決まっています。

自分の誕生日の前後。
太陽回帰の日。
新年の初日。
人生の大きな決断の前夜。
不思議な夢から目覚めた日。

つまり、日常の判断には、使わない。

日常の判断は、自分の頭と心で、する。

非日常の、大きな節目でだけ、カードに相談する。

これくらいの頻度だと、カードも、いちばん鮮明に、答えてくれます。

客観性を、保つ工夫。

自分を占うときの、最大の敵は、客観性の喪失。

これを防ぐために、いくつか、工夫をしています。

ひとつ:カードを引く前に、10分、瞑想する。

「こういう答えが出てほしい」という期待を、意識的に、切り離す。

ふたつ:質問を、紙に書き出す。

口頭で思い浮かべるのではなく、紙に書く。そうすることで、質問が具体化して、期待の混じったあいまいな質問にならない。

みっつ:引いたカードを、翌日、改めて見る。

その日の気分で読んだ解釈は、翌日見ると、違って見えることがある。

一晩、間を置いて、冷静に、もう一度読む。

この3つで、かなり客観性を保てます。

怖いカードが出ても、受け止める。

自分を占うときは、怖いカードが出たときの、受け止め方が、難しい。

お客様のために引いたカードは、冷静に解説できる。

でも、自分のカードで同じ意味のものが出ると、パニックになる。

「塔」「死神」「剣の10」。

お客様には「これは変化の予兆です」と語れるのに、自分に出ると「どうしよう、不幸が来るかも」と、理屈を飛び越えて、ざわつく。

この瞬間が、自分を占うことのいちばん難しいところ。

でも、ここで、目を、そらさない。

そらしたら、自分を占う意味が、ない。

お客様と同じように、「これは変化の予兆」と、自分に、宣言する。

他人に言える言葉を、自分にも言えるようになって、はじめて、占い師は、成熟する。

自分を占うことで、見えるもの。

年に数回、自分を占うことで、見えてくるものがあります。

お客様に語るときと、自分のことを読むときで、使っている筋肉が違う、ということ。

お客様のカードは、他人事として、冷静に読める。

でも、自分のカードを読むには、自分の感情をいったん脇に置く、別の筋肉が必要。

この筋肉を、年に数回、鍛えている。

この筋肉があると、お客様の鑑定で、相手に深く寄り添う力が、強くなる。

相手の感情に流されず、でも、相手の感情を切り捨てず、その中間点で読む力。

これは、自分を占う経験でしか、育たない。

禁止ではなく、節度。

結論。

占い師が自分を占うのは、禁止ではなく、節度の問題。

年に数回、大きな節目だけに、真剣に、自分にカードを引く。

これは、占い師としての成熟にも、日常の暮らしにも、役立ちます。

毎日引くのは、ダメ。

迷うたびに引くのも、ダメ。

でも、大事な夜に、静かに引く一枚は、あなたの内側に、深く届きます。

自分のカードを、怖がらないで。

カードを始めたばかりの人は、「自分を占うのは怖い」と、遠ざけてしまうことがあります。

怖いのは、当然。

自分の人生を、文字通り、目の前のカードで見るのだから。

でも、年に一度、誕生日の夜にでも、自分のために一枚引いてみる。

何が出ても、それを、受け止める練習。

この練習が、あなたを占い師として、そして、一人の人間として、深く成長させます。

俗説は、すべて参考にするもので、すべて鵜呑みにするものでは、ない。

カードとの関係を、自分で、築いていってほしいと、思います。

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