20代で、私が手放した3つのこと。

20代で、私は、3つのことを、手放しました。

捨てた、と言ってもいい。でも、捨てるは少し違って、どちらかと言うと、「もう、いいかな」と、静かに置いてきた、というほうが近い。

置いてきた3つのおかげで、30代の私は、信じられないくらい、身軽になった。

これから20代を生きる人にも、同じ20代を振り返る人にも、ちょっと読んでみてほしい。

目次

1つ目:「みんなと同じ幸せ」。

20代前半、私はずっと、「みんなと同じ幸せ」を追いかけていました。

安定した仕事。結婚。マイホーム。決まった年収。決まった時期の結婚式。決まった間取りの家。

周りの友達が、その道を歩きはじめると、自分もそっちに行かなきゃ、と焦りました。

でも、振り返ると、私には、まったく、向いていなかった。

「みんなが幸せと言うもの」は、あくまで、みんなの幸せ。

私の幸せは、たぶん、別のところにある。そう、気づくのに、数年かかりました。

ある日、友人の結婚式の帰り道、「あ、私は、たぶん、あの道は選ばない」と、はっきり思った。

泣きそうになった。でも、泣かなかった。

気持ちは、しんどい。でも、ラクなほうに、自分を戻せない。こっちは違う、こっちでもない、と、削るように進むしかない。

20代は、幸せの定義を、他人から取り戻す時期。

2つ目:「全員に好かれようとする努力」。

2つ目は、すごく分かりやすい。

みんなに好かれようとする癖。

職場、友人、親戚、SNS、初対面の人、通りすがりの店員さん。

全員に、いい印象を持たれたかった。

嫌われることは、死ぬほど怖かったし、悪口を言われているかもしれない、と疑心暗鬼になる夜も、何度もありました。

でも、25歳を超えたあたりで、気づいたこと。

全員に好かれる人間は、全員から薄く愛されるだけ。

誰にも深く愛されない。

人間には、好きな人と、嫌いな人が、いる。これは、しょうがない。

嫌いな人に、わざわざ好かれに行く必要はない。嫌いな人に嫌われる時間は、好きな人に好かれる時間を、確実に削っている。

20代後半、私は、「嫌いな人に嫌われることに、全力を尽くす」と、反転させました。

合わない人には、もう、合わせない。
苦手な人の誘いは、素直に断る。
悪口を言う場には、行かない。

結果、半数の人間関係が消えました。

でも、残った半分は、びっくりするほど、濃くなった。

今も連絡を取り合っている友人たちは、あのとき残ってくれた人たちです。

3つ目:「若さが武器だ」という思い込み。

これが、3つ目。そして、いちばん手放すのが難しかった。

「若さ」を、私は、武器だと、信じていました。

20代のうちにできること、若いから許されること、若いから挑戦できること。

世の中は、20代に「可能性」という甘い言葉を、たくさん与えてきます。

でも、「若さが武器」という思い込みは、実は、呪いだった。

なぜなら、若さは、必ず終わる武器だから。

25歳の私、28歳の私、30歳の私。

毎年、毎年、少しずつ、「若さ」の残量は減っていく。その減っていく武器を頼りにして生きると、毎年、焦りが増える。

焦りが増えると、判断ミスが増える。

「今のうちに」と思って、合わない人と付き合う。
「今のうちに」と思って、興味のない仕事を受ける。
「今のうちに」と思って、身の丈に合わない買い物をする。

全部、若さを消費しているだけ。

29歳のある夜、私はベッドの中で、「私の武器は、若さじゃない」と、はっきり決めました。

私の武器は、この頭と、この経験と、この感受性。どれも、年齢を重ねても、むしろ増えていく。減らない資産。

それを信じると決めた瞬間、30代が、急に怖くなくなった。

手放すのは、怖い。でも、持ち続けるほうが、もっと怖い。

みんなと同じ幸せ。全員に好かれる努力。若さという武器。

これらを手放すのは、どれも怖かった。

手放した瞬間、自分が空っぽになるんじゃないかと、不安になる。他の人がずるずる引きずっているものを、自分だけが先に捨てていいのか、と迷う。

でも、持ち続けるほうが、もっと怖かった。

30代になって、まだこの3つを手放せていない人を、何人も見てきました。

表情が、苦しそう。笑い方に、余裕がない。周りと比べては、落ち込んでいる。

手放さなかっただけで、こんなに顔つきが変わる、と、はっきり分かってしまう。

手放すには、置いていくだけでいい。

手放す、といっても、劇的な動きはいらない。

置いていくだけ。

「これは、もう、私の手には重すぎる」と気づいたら、そっと、机の上に置いて、部屋を出ればいい。

燃やさなくていい。
誰かに見せなくていい。
宣言しなくていい。

ただ、手を開いて、放す。

すると、その分、両手が空いて、次に抱えたいものを、抱きしめられるようになる。

30代は、手放したもののおかげで、やってくる。

30代が始まった日、私の両手は、20代より、ずっと軽かった。

同じ幸せを追わなくていい自由。全員に好かれなくていい気楽さ。若さに頼らなくていい安心感。

その3つの空白を、新しい価値観と、新しい仕事と、新しい人間関係が、すぐに、埋めてくれた。

手放すことは、失うことじゃない。

自分に、新しい場所を、作ること。

20代のあなたに、何を手放したか、と聞かれたら、私はこの3つを、そっと、差し出します。

あなたが手放すべきものは、たぶん、あなたが、もう、気づいている。

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